補助金とは?
補助金は、国や自治体が税金を使って企業や団体の取り組みをサポートする制度です。特に中小企業の生産性向上や新規事業の立ち上げ、雇用の確保など、社会的な課題解決を目的としています。
補助金のポイント

| ポイント | 解説 |
|---|---|
| 補助金によって目的や仕組みが違う | 補助金ごとに対象や条件が異なります。自分の事業に合ったものを見つけることが大切です。 |
| 必ずしも全額が補助されるわけではない | 経費の一部だけが対象になる仕組みです。自己負担が必要になるケースが多いです。 |
| 採択が必要 | 申請すれば必ずもらえるわけではなく、審査を通って採択されてはじめて受け取れます。 |
| 返済の必要がない | 融資と違い、原則として返済の義務はありません。事業に安心して投資できます。 |
| 信用につながる | 採択されると「国や自治体に認められた事業」として信用度が高まり、金融機関や取引先からの評価にもつながります。 |
補助金申請に必要な力

補助金の申請では、次のような力があるとスムーズです。
- 事業を分析する力
自分の事業の強みや弱み、課題を整理して、計画に落とし込む力。 - お金の計画を立てる力
投資にかかる費用や収益の見込みをきちんと説明できること。 - 伝わる文章を書く力
「なぜ補助金が必要なのか」「どんな成果が出るのか」をわかりやすく説明する力。 - パソコン操作の力
補助金は電子申請が主流。WordやExcel、PDFの操作は必須です。
準備しておきたい道具
補助金申請をサポートするために、次のような道具を用意しておくと安心です。
- パソコン(Windows推奨)とOfficeソフト
- プリンター・スキャナー(書類の提出や控えのため)
- GビズID(電子申請に必須のアカウント)
補助金の採択が決まる仕組み

補助金は「条件を満たせば必ずもらえる」ものではなく、審査に通ったものから採択される仕組みです。応募が多い場合は点数が高い順に採択されるため、必ずしも申請すればもらえるわけではありません。
採択のポイント
審査では「審査項目」と「加点項目」があります。
審査項目は公募要領で公開されていて、どの点を見られるか事前に確認できます。加点項目は満たしていればプラス評価となり、採択されやすくなります。
加点項目と採択率の関係
過去のデータでは、加点項目を多く満たした申請ほど採択率が高い傾向があります。
0個の加点では採択率が低く、加点が2個、3個と増えるにつれて採択率が50〜60%台まで上がります。加点が6個以上あるとほぼ確実に採択されるほどの結果が出ています。
つまり、補助金を活用したい場合は「公募要領をよく読み、審査項目を押さえること」と「加点項目を意識して申請を準備すること」が採択への近道になります。
補助金の流れ

補助金は「申請して終わり」ではなく、受け取るまでにいくつかの段階があります。ここを理解しておくと安心です。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ① 公募開始 | 補助金の公募要領が公開されます。対象事業、補助率、申請条件、締切などが示されます。 |
| ② 申請準備 | 事業計画書や必要書類(決算書、登記事項証明書など)を作成します。補助金によっては商工会議所など支援機関の確認が必要です。 |
| ③ 申請提出 | 電子申請システム(jGrantsなど)を通じて提出します。紙申請を求める制度もあります。 |
| ④ 審査 | 公募要領の要件を満たしているか、計画に実現性や効果があるかを審査されます。 |
| ⑤ 採択発表 | 採択・不採択の結果が公表されます。採択されると補助事業を実施できるようになります。 |
| ⑥ 補助事業の実施 | 計画に沿って設備導入や広告、ITツールの導入などを実施します。補助対象経費だけでなく証憑管理も重要です。 |
| ⑦ 実績報告 | 実際に行った事業内容や経費をまとめ、報告書を提出します。領収書や契約書の提出が必要になります。 |
| ⑧ 確定検査 | 報告内容が確認され、補助金額が最終的に確定します。不備があると差し戻しになることもあります。 |
| ⑨ 補助金の入金 | 請求後、補助金が指定口座に振り込まれます。ここまでで一連の事業が完了します。 |
| ⑩ 事業効果報告 | 一部の補助金では、翌年度以降に売上増加や雇用拡大といった効果を報告する必要があります。 |
ポイント
- 補助金は「後払い」が原則。
- 書類や証拠を残しておかないと受け取れない場合がある。
- 途中で計画を変える場合は、事前に承認が必要になることもある。
予算について
補助金は、国がお金をどう使うか決める「予算」の中から出されています。
つまり、国が家計簿のように「今年はこれにいくら使おう」と決めた中に、補助金の分も入っているのです。
2つの予算
- 当初予算(とうしょよさん)
毎年4月から翌年3月までの1年分の基本的な予算です。
学校や病院など、ずっと必要なお金がここに入ります。 - 補正予算(ほせいよさん)
途中で「急に必要になったお金」を追加するための予算です。
景気の対策や災害の支援など、その時々で決まります。
中小企業向けの補助金は、この補正予算から出ることがとても多いです。
いつ注目すればいい?
補助金をうまく使うには、国の予算が決まるタイミングを知っておくと便利です。
- 11月ごろ:補正予算の情報が出はじめます。中小企業向け補助金のチャンスが多い時期です。
- 12月末ごろ:次の年の当初予算が決まります。来年度の支援内容が見えてきます。
- 2月以降:実際に補助金の募集がはじまります。
不正受給のリスク(かんたん説明)

- 補助金をだまって不正に受け取ると
→ 全額返還+高い利息(年10.95%)+刑事罰(懲役や罰金) - 3年後にバレても
→ 補助金+3年分の利息 をまとめて返すことになります - 事業者名が公表され、信用を失うリスクも大きいです
- よくある不正
- 経費の水増し
- 架空の発注
- 補助対象外の費用を混ぜる
補助金申請でよく出てくる用語
| 用語 | 解説 |
|---|---|
| 公募開始 | 補助金の募集がスタートすること。目的や趣旨、申請期限などが公開される。 |
| 公募要領 | 補助金制度のルールをまとめた説明書。上限額、補助率、対象経費、申請要件、必要書類などが記載される。必ず確認が必要。 |
| 補助事業 | 補助金を活用して行う設備投資・広告・Web制作などの事業。発注・契約・支払・納品までを含む。 |
| 補助事業実施期間 | 補助事業を実施できる期間。制度により数か月〜2年などが定められており、この期間内に完了させる必要がある。 |
| 補助率 | 補助対象経費のうち、補助金でカバーされる割合。例:経費100万円 × 補助率2/3 = 補助金66万円。 |
| 交付申請 | 「この経費を補助対象にしたい」と申請する手続き。見積書や契約書を添付し、補助金額を決めてもらう重要な段階。 |
| 交付決定 | 申請内容が認められ、補助金額が正式に決まること。交付決定通知書が届いてから事業を進める。 |
| 実績報告 | 事業完了後、成果や支出内容をまとめて報告すること。見積書・請求書・領収書などの証憑を提出する。 |
| 確定検査 | 実績報告の内容をもとに、書類審査や現地調査、帳簿の確認などを行う手続き。 |
補助金制度の12のルール
| ルール | 解説 |
|---|---|
| 1. 原資は税金である | 補助金は国民の税金を使っているため、不正やルール違反には厳しい罰則があります。 |
| 2. 必ず採択されるわけではない | 条件を満たしても必ずもらえるわけではなく、審査で選ばれた事業だけが採択されます。 |
| 3. 補助金は後払いが原則 | まず自分で支払いをして、その後に領収書などを提出してから補助金が支払われます。 |
| 4. 二重受給の禁止 | 同じ費用に対して複数の補助金を重ねてもらうことは禁止されています。 |
| 5. 事前着手の禁止 | 交付決定が出る前に契約・購入したものは対象になりません。 |
| 6. 受給額は交付決定額が上限 | 決定された金額が上限で、後からの増額はできません。 |
| 7. 記録に残る取引が必要 | 契約・支払いは必ず書面や振込など証拠が残る方法で行わなければなりません。 |
| 8. 目的外使用の禁止 | 補助金で購入した設備や備品は、申請した目的以外に使うことはできません。 |
| 9. 無許可での財産処分の禁止 | 補助金で買った設備を勝手に売却・廃棄・貸与することはできません。 |
| 10. 計画内容の変更には承認が必要 | 計画を勝手に変更することはできず、変更したいときは事前に承認を受けなければなりません。 |
| 11. 収益納付の原則 | 補助事業で大きな収益が出た場合は、一部を国や自治体に納めるルールがある場合があります。 |
| 12. 不正受給には厳罰 | 不正に補助金を受け取ると、返還だけでなく重い罰則が科されます。 |
補助金情報を探すときに便利なサイト
| サイト・機関 | 特徴 |
|---|---|
| ミラサポplus(経済産業省) | 中小企業や小規模事業者向けの補助金・給付金をまとめて掲載。申請サポートや経営診断ツールも利用可能。 |
| J-Net21(中小企業基盤整備機構) | 全国の補助金・助成金を検索できるポータルサイト。地域別や目的別に探せる。 |
| 各省庁のホームページ | 中小企業庁、国土交通省、観光庁など、それぞれの業種に関連した補助金情報を公表している。 |
| 商工会議所・商工会 | 地域の中小企業支援制度を案内。特に「小規模事業者持続化補助金」の申請時に利用されることが多い。 |
| 都道府県・市町村のサイト | 地域独自の補助金を確認できる。例:東京都中小企業振興公社など。 |
ポイント
- まずは 国や自治体の公式サイト をチェックする
- 自分の業種や地域にあったものを探す
- 商工会議所や自治体の窓口でも情報を得られる