クラウドファンディングで資金調達を終えた後、「次の一手」として活用したいのが 小規模事業者持続化補助金(通称:持続化補助金) です。第19回の公募がスタートしており(申請受付は2026年3月6日開始、締切は4月30日17:00)、この記事を読めば 申請の全体像から準備すべきポイントまで一気に理解できる ように解説します。
いくら使えるのか(補助金額)

- 補助率:原則 2/3
- 補助上限額:50万円
小規模事業者持続化補助金(第19回・一般型)では、販路開拓等の取り組みにかかる経費について、最大50万円まで補助を受けることができます。
補助率は原則 2/3 です。
たとえば、75万円の経費を使った場合、50万円が補助され、自己負担は25万円となります。
なお、一定の要件を満たす場合には、補助上限額が引き上げられる「特例」も用意されています。
補助上限額の加算など
第19回では、以下の特例を活用することで、補助上限額が加算されます。
- インボイス特例
免税事業者がインボイス発行事業者として登録した場合
→ 補助上限額が 50万円上乗せ - 賃金引上げ特例
事業場内最低賃金を一定額以上引き上げる場合
→ 補助上限額が 150万円上乗せ - 両特例を満たす場合
→ 補助上限額が 最大200万円まで上乗せ
ただし、特例を選択した場合でも、要件を1つでも満たさないと補助金そのものが不交付になる 点には注意が必要です。「上乗せ部分だけが不支給になる」のではなく、全体が対象外となります。
また、賃金引上げ特例を選択した事業者のうち、赤字事業者については、補助率が 3/4 に引き上げられます。
何に使えるのか(対象経費)
小規模事業者持続化補助金(第19回)では、「販路開拓等」または「業務効率化」に資する取り組み に必要な経費が補助対象となります。
単なる設備購入や広告費であっても、経営計画の中で目的・効果が説明できないものは対象外 になるため、「何に使えるか」だけでなく「どう使うか」が重要です。
「対象となる」経費の例

第19回公募要領において、主に以下の経費が補助対象とされています。
- 機械装置等費
(業務効率化や生産性向上のための設備・機器の購入など) - 広報費
(チラシ、パンフレット、看板、広告掲載費 等) - ウェブサイト関連費
(ホームページ制作・改修、ECサイト構築 等) - 展示会等出展費
(展示会・商談会への出展費用、オンライン展示会を含む) - 旅費
(展示会出展や商談に伴う移動費 等) - 新商品開発費
(試作品の制作、パッケージ開発 等) - 借料
(機器リース料、展示会出展に伴う会場使用料 等) - 委託・外注費
(専門業者への業務委託、制作外注 等)
いずれも、補助事業期間内に発生し、証拠書類が確認できるもの に限られます。
「対象とならない」経費の例

一方で、次のような経費は原則として補助対象外となります。
- 通常の事業運営にかかる経常経費
(家賃、光熱費、人件費、通信費 等) - 汎用性が高く、事業目的との関連性が弱いもの
(パソコン、タブレット、事務用品 等) - 交際費、飲食費、接待費
- 補助事業期間外に発生した経費
- 証拠書類(見積書・請求書・支払証明等)が確認できない経費
「売上につながりそう」「必要だから」という理由だけでは認められず、補助事業としての必然性が説明できるかどうか が判断基準になります。
誰が使えるのか(対象者)

小規模事業者持続化補助金(第19回)は、商工会・商工会議所の支援を受けながら、経営計画を作成し販路開拓等に取り組む「小規模事業者」 が対象です。
法人・個人事業主のいずれも申請可能ですが、業種ごとに「従業員数の上限」が定められている 点に注意が必要です。
常時使用する従業員とは?
「小規模事業者」に該当するかどうかは、常時使用する従業員数 によって判断されます。
業種ごとの基準は以下のとおりです。
- 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)
→ 5人以下 - 宿泊業・娯楽業、製造業、その他の業種
→ 20人以下
ここでいう「常時使用する従業員」とは、正社員だけでなく、一定の条件を満たすパート・アルバイト も含まれます。
一方で、以下のような方は原則として含まれません。
- 代表者本人
- 役員(一定の条件を満たす場合を除く)
- 短期間・臨時的に雇用されている者
従業員数の判定は、申請時点の実態 に基づいて行われるため、境界線上のケースでは事前に商工会・商工会議所へ確認しておくことが重要です。
小規模事業者持続化補助金(第19回)申請フロー
第19回小規模事業者持続化補助金は、申請締切(2026年4月30日 17:00)から逆算して準備することが重要 です。
特に、商工会・商工会議所が発行する「事業支援計画書(様式4)」には発行受付締切(2026年4月16日) があるため、早めの行動が求められます。
全体の流れは以下のとおりです。

① すぐに着手(〜2026年2月上旬/締切の約90日前までに)
補助金の内容を理解する
まずは最新の「公募要領」を読み込みましょう。補助対象となる経費・対象外経費、加算条件などを確認します。特に「自分の事業が対象になるのか」「どの経費が補助されるのか」を早めに把握することが重要です。
GビズIDプライムを取得
電子申請に必要な条件であり、取得には数週間かかります。そのため、早めに着手しておきましょう。取得後は、jGrantsに実際にログインできるかも確認しておくと安心です。
事業計画のアイデア出し
クラウドファンディング終了後の事業展開をどう広げていくかを整理しましょう。アイデア出しの段階では、生成AIを活用して壁打ちやブレインストーミングを行うのも有効です。
たとえば、「新商品を全国に広めたいからネット広告を出す」「展示会に出展して新規取引先を獲得したい」「予約システムを導入して業務を効率化したい」など。
② 事業計画書の作成(2026年2月〜3月上旬/締切の約60日前までに)
- 事業計画(様式2)の作成
「自社の強み・課題」「補助事業の目的」「取組内容」「期待される効果」を文章で整理します。
採択されるかどうかは、この計画書の内容がポイントです。 - 補助対象となる経費について、見積書を取得
チラシを作るなら印刷会社、ECサイトを作るなら制作会社、設備を導入するなら販売店などから必ず見積書を取得しましょう。
この見積が根拠資料となるため、補助対象の範囲を確認しながら依頼してください。
③ 商工会・商工会議所との調整(3月中旬〜4月上旬/様式4締切(4/16)の10日前までに)
- 事業支援計画書(様式4)の発行依頼
申請には必ず「商工会・商工会議所」の確認が必要です。事業計画を持参し、指導員に内容を確認してもらいます。
ここでアドバイスを受けながら修正すると、採択率アップにもつながります。 - 様式4の発行受付締切は 2026年4月16日(木)
- 直前は相談が殺到するため、3月中旬には相談開始が安全ですが、
遅くとも締切の10日前(4/6頃)までには確認を依頼しましょう。 - 締切直前の発行依頼は、受け付けてもらえないことがあります。
- 締切以降の発行依頼は、いかなる理由があっても受付されません。
- また、補助対象者の要件を満たしていないと判断される場合は発行されません。
④ 電子申請の提出(2026年3月6日受付開始 〜 2026年4月30日17:00締切)
- 電子申請システムから申請(郵送は不可)
- 申請受付開始:2026年3月6日(金)
- 申請受付締切:2026年4月30日(木)17:00
(時間を1分でも過ぎると受付されません) - 提出後の修正はできないため、様式・添付資料・誓約書などを必ずチェック。
⑤ 採択・交付決定(採択発表:2026年7月頃予定)
- 審査の結果、採択・不採択が決定されます。
(採択発表は2026年7月頃予定) - 採択されると「採択結果通知」が届きます。
- その後「交付決定通知書」が送られてきて、ここで正式に補助事業を開始できます。
- 交付決定は、採択発表から1〜2か月程度かかる場合があります。
- 補助対象は、交付決定日以降 に支出した経費のみ。
- 採択後、見積書等の提出期限は2027年5月30日です。
(提出がない場合、採択が取り消される可能性あり) - 採択前・交付決定前に支出した経費は対象外なので注意してください。
⑥ 事業実施・経費支出(交付決定日~2027年6月30日まで)
- 交付決定後、事業計画に沿って活動を開始。
- 経費を支出し、証拠書類(請求書・領収書・振込記録など)を必ず保存します。
- 経費は、交付決定日以降に発注・契約・支払いを行ったもののみが対象です。
- 補助事業の実施期限:2027年6月30日(水)までです。
この日までに事業を完了し、支払いも済ませる必要があります。
※ 交付決定前の支出は補助対象外 です。 - 請求書・領収書・振込記録などの証拠書類を必ず保管する必要があります。
⑦ 実績報告・補助金受給(提出期限:2027年7月10日)
- 補助事業終了後、実績報告書を作成・提出します。これには「成果の報告」「経費の内訳」「証拠書類の添付」が必要です。
- 実績報告書の提出期限:2027年7月10日(土)。
- 事業を途中で完了した場合は、「事業完了日から30日」または「上記期限」のいずれか早い日までに提出します。
- 事務局の審査を経て、補助金が確定し、指定口座へ振り込まれます(補助金は原則「後払い」です)。
想定スケジュール例
- 準備開始:いますぐ着手!〜2026年2月上旬
- 事業計画作成:2026年2月〜3月上旬
- 商工会等との調整:2026年3月中旬〜4月中旬
- 申請締切:2026年4月30日
- 採択発表:2026年7月頃
- 見積書等の提出期限:2027年5月30日
- 事業実施期間:交付決定後〜2027年6月30日
- 実績報告期限:2027年7月10日
- 補助金確定:実績報告審査完了後
小規模事業者持続化補助金FAQ
Q1. 補助率2/3というのは、必ずその割合で補助されるのですか?
A. 必ず2/3が補助されるわけではありません。見積書や支出内容が「補助対象経費」と認められた部分だけに適用されます。たとえば75万円の経費を計上しても、対象外部分が25万円含まれていれば、残り50万円に対して補助率2/3が適用されます。つまり、「申請額=受給額」ではない点に注意が必要です。
Q2. 商工会や商工会議所との調整は必須なのですか?
A. はい、必須です。事業計画書を商工会議所に持ち込み、指導員に確認を受けることで「事業支援計画書(様式4)」を発行してもらいます。これがないと申請できません。直前は予約が混み合い、間に合わないケースもあるため、締切の1か月以上前から調整を始めるのが安全です。
Q3. 補助金はいつ振り込まれますか?
A. 採択直後には入金されません。補助事業を実施し、領収書・振込明細などの証拠書類をそろえて「実績報告」を提出した後に、事務局の審査を経て入金されます。原則「後払い」方式なので、最初に事業者自身で立て替える必要があります。キャッシュフローの計画を立てた上で取り組むことが大切です。
Q4. 採択率を高めるにはどんな工夫が必要ですか?
A. 採択のポイントは「事業の具体性」と「地域経済への波及効果」です。単に「売上を伸ばしたい」では弱く、「クラウドファンディングで得た支援者をリピーター化するために予約システムを導入する」「展示会で新規取引先を開拓し、地域産品の販路拡大につなげる」といった具体的かつ社会性のある計画が評価されやすくなります。また、商工会の指導員からのアドバイスを受けて修正することも採択率アップに直結します。
Q5. 交付決定前に支出した経費は絶対に認められないのですか?
A. はい、原則として対象外です。交付決定日より前に発注・契約・支払いをした経費は、たとえ補助対象に見えるものであっても認められません。よくある失敗例は「締切に間に合わないと思って先に発注してしまった」「広告を先に出してしまった」ケースです。交付決定通知が届くまでは一切支出を控えるのが鉄則です。
Q6. 個人事業主でも申請できますか?
A. できます。ただし「小規模事業者」と認められる範囲であることが条件です。注意点は、家族従業員や役員は「常時使用する従業員数」に含まれないことです。たとえば、奥様が手伝っていても雇用契約がなく社会保険にも加入していなければ人数に含めません。実際のカウント方法を誤ると「対象外」と判断されるので要注意です。
Q7. 補助金を受けた後に追加で別の補助金を申請できますか?
A. 可能ですが、同一経費の「二重取り」は禁止されています。たとえば、同じ広告費を2つの補助金で計上することはできません。ただし、「クラウドファンディング活用助成金」で広告費の一部を補助し、持続化補助金でホームページ制作費を申請するなど、経費を明確に分ければ併用は可能です。