クラファンと補助金は、原則として課税対象になります。一方、融資は非課税です。
① クラファンは「課税対象」です
クラウドファンディングで集めた支援金は、原則として事業の売上として計上されます。
たとえば:
①10万円の支援を受ける
②製品やサービスをリターンとして提供する
→ この流れは「販売」とみなされ、所得税・法人税・消費税の対象になります。
さらに、(経費として使えば、、、)
③ 支援金をもとに原材料費や外注費などの経費を支出した場合、それらは必要経費として計上できます。
④ つまり、売上から経費を差し引いた利益部分に対して課税されることになります。
ただし、(経費とは、、、)
ただし、経費として認められるのは、事業に直接関係し、私的な支出でないことが前提 です。
たとえば、プライベートな買い物や、仕事との関連がはっきりしない交際費など は、経費にはなりません。
また、将来的に価値が残る設備や備品(パソコン、机、内装工事など) は「資産」として扱われるため、購入時に全額を一括で経費にすることはできません。
数年にわたって減価償却という方法で経費計上 していくことになります。
- 1つの金額が10万円以上
- 使用期間が1年を超えること
- 事業に使うもの
逆に、減価償却資産でないものは?(経常経費、消耗品・サービス費用)
- 広告宣伝費:チラシ、WEB広告、LP制作など
- 外注費:デザイン、ライティング、動画編集など
- 消耗品費:POP・梱包材・パッケージ(10万円未満)
- 通信費:クラファン運用用のネットや回線(按分が必要な場合あり)
- 交通費・家賃:打合せの交通費、短期利用のスペース賃料など
② 補助金も「課税対象」です(ただし例外あり)
事業向けの補助金(ものづくり補助金、事業再構築補助金など)は、入金された時点で事業収入として計上されるため、原則として課税対象になります。
ただし、補助金はあらかじめ経費を支出してから申請する「後払い」の仕組みが一般的で、支出額の一部が戻ってくるものです。
たとえば:
① 開発費などに20万円を支出する
② 補助金を申請し、後日その1/2(10万円)が入金される
→ 入金された10万円は事業収入として課税対象になりますが、もともとの支出20万円は経費にできるため、結果として利益はマイナス10万円(赤字)となり、課税されません。
実際には、補助金の額が支出を上回ることはなく、利益が出ない限り所得税や法人税が発生することはありません。また、補助金は消費税の課税対象ではないため、消費税が上乗せされることもありません。
ただし、補助金でパソコンや設備などの資産を取得した場合は、少し注意が必要です。こうした資産は購入時に全額を経費にできず、減価償却によって数年にわたって少しずつ経費化されます。
そのため、補助金を受け取った年に対応する経費が少ないと、一時的に利益が出て課税が発生することもあります。
③ 融資は「非課税」です
融資(日本政策金融公庫や銀行などからの借入)は、**将来返済することが前提の「借金」**です。
そのため、クラファンや補助金と異なり、お金を受け取っても収入として扱われず、課税対象にはなりません。
たとえば:
① 公庫から300万円を借りる
② 資金を使って設備を購入したり、運転資金に充てる
→ この金額は「借入金」であり、売上や利益ではないため、所得税や法人税の対象にはなりません。
利息は「経費」にできる
融資にかかる利息については、事業に必要な借入であれば「支払利息」として経費に計上することが可能です。つまり、利息を支払うことでその分だけ課税所得が減り、節税効果が期待できます。
「借金した方がいい」と言われる理由
補助金やクラファンは申請やプロモーションなどに時間や手間がかかる一方で、融資には次のようなメリットがあります。
- 使い道が自由:補助金のような細かい使途制限がなく、柔軟に使える
- 資金調達が早い:条件が合えば、補助金よりも早く手元に入る
- 事業規模を広げやすい:自己資金に上乗せして、大きな展開が可能
- 信用力がつく:きちんと返済を続けることで、金融機関の信頼が高まる
補足アドバイス
融資は「借金だから怖い」と思われがちですが、計画的に活用すれば、事業の安定や成長を助ける強力な手段になります。とくに、利息が経費になる・返済までに猶予がある・現金を確実に確保できるという点では、クラファンや補助金と違った安心感があります。
まとめ:課税の違い一覧表
| 手段 | 税金かかる? | ポイント |
|---|---|---|
| クラファン | かかる(課税) | 売上扱い。消費税の対象にもなる場合があります |
| 補助金 | かかる(課税) | 経費と合わせて考える。利益が出た場合に課税対象に |
| 融資 | かからない(非課税) | 返済が必要なため収入にはなりません |
行政書士クラウドパートナーズ からのアドバイス
「どうせ税金がかかるなら意味がない」と思われるかもしれませんが、それは誤解です。本当に大切なのは、その収入をどのように使い、事業にどう活かしていくかだと考えています。
そして、補助金・融資・クラファンをどう組み合わせて、どの順番で使うかで、事業の安定度は大きく変わります。
制度を知り、正しく活用すれば、課税されても十分にメリットは残ります。迷ったら、専門家に早めに相談することをおすすめします。