結論：
事業を「始める前」か「始めた後」かによって、使える制度も最適な制度も異なります。
クラファンと融資は開始前から使いやすく、補助金は開始後に効果を発揮します。ただし、制度によっては例外もあるため、慎重な見極めが必要です。
【事業開始“前”】これから起業する場合
これから起業する方にとっては、実績がない中でどう資金を集めるかがポイントです。
その中で、クラファンと融資は比較的活用しやすく、補助金は制度によって可能性があります。
① クラファン：開業前から始められる資金調達
購入型クラウドファンディングは、法人設立や開業届の前でも利用できます。
事業の実績がなくても、企画やストーリーが魅力的であれば支援が集まる仕組みです。
向いているタイミング：
- 商品やサービスのアイデアが固まっているとき
- プロトタイプ制作や初期費用を集めたいとき
- 市場の反応やテスト販売をしてみたいとき
② 補助金：基本は開始後。ただし制度によっては開業前も対象に
多くの補助金では「交付決定前に支出してはいけない」というルールがありますが、例外的に事前着手を認める制度もあります。
また、一部の創業支援補助金（自治体など）では、開業前を対象にしたものも存在します。
ただし要件やタイミング管理が非常に重要です。
向いているタイミング：
- 創業を計画しており、補助金の公募が始まっているとき
- 自治体などの創業補助金を活用できる場合
- 事前着手申請が許可された場合（制度により異なります）
③ 融資：準備が整っていれば開業前でも利用可能
日本政策金融公庫では、開業前6か月以内であれば創業融資を申請することができます。
売上実績がない分、事業計画や自己資金、経験・スキルなどが審査材料になります。
向いているタイミング：
- 店舗取得・設備導入など初期費用がかかる前
- 事業計画書が具体的に仕上がっているとき
- 自己資金だけでは不安があるとき
【事業開始“後”】すでに開業・運営している場合
すでに事業を始めている方にとっては、売上や実績を活かしたうえで、次の成長や安定に向けた資金調達がポイントになります。
① クラファン：新企画や商品開発にぴったり
クラファンは、開業後でも十分活用できます。
新商品の開発、イベント開催、販路拡大のきっかけづくりとして活用すれば、プロモーション効果も兼ねることができます。
向いているタイミング：
- 新商品や新サービスを展開したいとき
- PRや話題性を高めたいとき
- ファンやリピーターとの関係を深めたいとき
② 補助金：拡大・改善フェーズで活用するのが効果的
補助金は、ある程度事業が安定してきた段階で活用すると、申請書の説得力も高まり、採択率も上がります。
申請から入金まで数か月かかるため、余裕をもった計画が必要です。
向いているタイミング：
- 設備投資や業務改善を考えているとき
- 販路拡大や生産性向上の施策を検討しているとき
- 補助金を事業実績として信用につなげたいとき
③ 融資：運転資金や事業成長の資金源に
事業を始めたあとであれば、売上・確定申告・補助金実績なども信用材料として使えます。
日常的な資金繰りから、成長のための投資まで、さまざまな目的に対応できます。
向いているタイミング：
- 仕入れや人件費などの運転資金が必要なとき
- 店舗改装や拠点拡大などを検討しているとき
- 安定経営に向けて資金の余裕を持っておきたいとき
まとめ：事業段階と制度の使いどころ
| 事業段階 | 手段 | 向いているタイミング・特徴 |
|---|---|---|
| 開業前 | クラファン | 実績不要。アイデアと発信力で支援を集められる |
| 補助金 | 制度により可能。要件やスケジュールに注意が必要 | |
| 融資 | 計画と自己資金で信用を補完。初期投資に向いている | |
| 開業後 | クラファン | 新企画・販促に。既存顧客がいれば成功率も高い |
| 補助金 | 拡大・改善フェーズに最適。実績を活かせば採択率アップ | |
| 融資 | 売上や事業実績に基づき、運転資金や成長投資に活用しやすい |
行政書士クラウドパートナーズからのひとこと
資金調達の成功は、「制度の選び方」だけでなく「タイミングの合わせ方」で決まることがよくあります。せっかく良い制度があっても、時期が合わなければ使えないこともあります。
今の事業フェーズをしっかり見極めて、制度を上手に組み合わせることが、無理のない経営につながります。
どれを、いつ、どう使えばいいか迷ったときは、ぜひ一度ご相談くださいね。やすださんと一緒に、最適な選択を考えてまいります。
起業・成長フェーズ別の資金調達Q&A
会社設立前後の資金調達について寄せられる質問をまとめました。クラウドファンディング（クラファン）・補助金・融資を、事業フェーズに合わせてどう使い分けるかを分かりやすく解説します。
- Q. クラウドファンディングは会社設立（開業届）前でも利用できますか？
- A. はい。購入型クラファンなら会社設立や開業届の前でも開始できます。実績がなくても、アイデアやストーリー性が支持されれば資金調達につながります。プロトタイプ費用の確保やテストマーケティングにも有効です。
- Q. 補助金はいつ申請するのが最適？「交付決定前の支出NG」と聞きます。
- A. 原則として交付決定前の支出は対象外です。多くは事業開始後の拡大・改善フェーズで効果的ですが、創業系や自治体の一部では開業前を対象とする制度や「事前着手」可の例外もあります。公募時期・要件・スケジュール管理が重要です。
- Q. 融資は開業前でも申し込めますか？
- A. 可能です。日本政策金融公庫などの創業融資は、開業前でも要件を満たせば申請できます。売上実績の代わりに、事業計画の妥当性、自己資金、関連経験・スキルなどが審査のポイントです。
- Q. クラファン・補助金・融資は組み合わせて使えますか？順番は？
- A. 組み合わせは有効です。例として、
・起業前：クラファンで初期費用を補い、創業融資で不足分を確保
・起業後：補助金で設備・販路を強化し、融資で運転資金を安定化
事業フェーズと資金使途に合わせて最適な順番をご提案します。 - Q. 起業前と起業後で「最適な資金調達」はどう変わりますか？
- A. 起業前は実績不要のクラファンと、計画重視の創業融資が中心。起業後は実績を根拠に補助金の採択率が上がり、融資も運転・成長投資に使いやすくなります。フェーズによって制度の相性が変化します。
- Q. クラファンはPRにも効きますか？目標未達が不安です。
- A. 新商品・イベント・販路開拓のプロモーションと相性が良く、既存顧客・ファンの可視化にも役立ちます。目標設定は無理のない金額と分かりやすいリターン設計が鍵。小さく始めて学びを得る「スモールスタート」が有効です。
- Q. 補助金は申請から入金まで時間がかかると聞きます。資金繰りはどう管理？
- A. 申請～採択～交付～実績報告～精算払いまで数か月を要することがあります。短期の運転資金は融資でカバーしつつ、中長期の投資に補助金を充てるなど、キャッシュフロー計画を併用するのが安全です。
- Q. まず何から始めればよいですか？無料相談は可能？
- A. 事業計画（市場・商品・収益モデル・資金使途・スケジュール）を整理し、フェーズに合った制度の当たりを付けるのが第一歩です。クラファンの企画設計、補助金スケジュール、融資の必要書類まで、行政書士が無料相談で初期診断を行います。